後期臨床研修のご案内
大田病院の医師研修は、卒後2年目までを初期臨床研修、3年目から5年目までを後期臨床研修(専門研修)と位置づけ、一貫した方針のもとで医師養成を行っています。
現在、大田病院は内科専門研修プログラムの基幹施設となっており、内科専門医取得のためのカリキュラムを有しています。
また、リハビリテーション科、病理科の連携施設でもあり、基幹施設と連携して専門研修を行うことができます。
大田病院の目指す医師研修の目標
2年間の初期臨床研修を終えた専攻医のモチベーションは、研修を自分の志向する分野へ、より深い知識と技能、経験を求める内容に変化していると考えます。
大田病院の目指す医師研修の目標に基づき、プライマリ・ケアを提供する医師としての能力を引き続き磨きながら、自らの高いモチベーションに基づいて選択的な研修を行っていくことを、コアとなる教育目標に置きます。
プライマリ・ケアを提供する医師に必要な能力は、地域の経済情勢や特徴をふまえて、頻度の多い病態・世代・社会背景に応じた適切な医療と福祉の適応を知り、利用できる医療・福祉資源を知ることを前提とします。
適応する医療技術は、地域の他の医療機関との関係において必要に応じて身につけ、提供する能力となります。
地域へ開かれた窓口の役割をもって医療を提供するために、さらに重要な技能は、広く患者様を受け入れる態度を身につけることです。
我々の能力を超える可能性のある健康問題であっても、医療を求めて受診される患者様を、必ず診察し、我々のできる範囲内での判断と治療の道筋を示すことを、真摯に行う態度が求められます。
またプライマリ・ケアを提供する医師は、これまでよりも更に広い分野において、治療的判断や意志決定を行っていくことが必要とされます。
その際には、患者様、医療スタッフとの十分な意見交換を行って、患者様の納得できる意志決定を行っていく必要があります。
そのためには、一人の知識や思考には限界があること、自らの信念と異なる考え方を受け入れ、それにあえて従う態度が求められることを認識する必要があります。
医療スタッフや患者様と意見が異なるとき、治療方針を決める最も大きな力を持つ医師が、最も広く意見を受け容れる謙虚な態度を示す能力が必要とされます。
地域には、種々雑多な健康問題が様々な考え方、経済的・政治的課題と共に存在しています。
このような課題に応えられる能力とは、極めて個別的な問題でも選り好みせず、真摯に取り組む中でのみ身についていくものと考えます。
「これは自分の専門外」ではなく、「医学的問題でなくても、地域の健康問題であれば取り扱う、医師・医療機関となる」ことが、プライマリ・ケアを提供する医師の重要な素質といえます。
全てのプログラムに共通する研修到達目標
総合医としての臨床的技能(責任性、近接性、継続性)の維持、研鑽
責任性:主治医としての患者管理、総合的判断、地域の医療要求に応える姿勢
近接性:患者様への親切な態度、医療スタッフとの良好なコミュニケーション
継続性:往診、外来、病棟を担当し、患者様と長く関係する
大田病院内科専門研修の特徴
大田病院は日本専門医機構の定める「内科専門研修基幹施設」です。
大田病院の内科専門研修プログラムにおいて、専攻医は主担当医として、患者様の入院から退院まで可能な範囲で診断・治療に主体的かつ継続的にかかわり、全身状態・社会的背景・療養環境調整をも包括する全人的医療を実践します。
また、一人一人の患者様に最適な医療を提供する計画を立て実行する能力の修得を目標としています。
内科病床数は104床とコンパクトですが、東京都の定める「東京ルール」の幹事病院として救急医療体制に貢献しており、地域に根ざす第一線の病院として大田・品川地域における病診・病病連携の中核的な役割をも担っています。
豊富なコモンディジーズの経験を通じて、内科の基本的な診療を身に付けることが可能です。
また大田病院では在宅医療課による訪問診療も行っており、疾患管理のみならず、地域の実情をより身近に学ぶことができます。
研修施設群の各医療機関は地域において中核的な役割を担っており、研修を通じて高次機能病院や地域病院との病病連携や、診療所との病診連携も経験することができ、基幹病院からの連携のあり方を経験します。
内科専門研修の教育目標
3年間の研修期間を通じて、主担当医として内科専門研修「研修手帳」に定める全70疾患群を経験し、200症例以上経験することを目標とします。
内科領域研修を幅広く行うため、内科領域内のどの疾患を受け持つかについては多様性があります。そこで、専門研修(専攻医)年限ごとに内科専門医に求められる知識・技能・態度の修練プロセスを設定します。 (詳細は新・内科専門研修「研修手帳」を参照)
専攻医は指導医・上級医とともに、下記①~⑩について積極的に研鑽する機会を与えられます。
これらは一般的にはコンピテンシー(観察可能な能力で、知識、技能、態度が複合された能力のこと)と呼ばれ、その中で共通・中核となるコア・コンピテンシーは倫理観・社会性となります。
内科専門医として高い倫理観と社会性を獲得します。
①患者とのコミュニケーション能力
②患者中心の医療の実践
③患者から学ぶ姿勢
④自己省察の姿勢
⑤医の倫理への配慮
⑥医療安全への配慮
⑦公益に資する医師としての責務に対する自律性(プロフェッショナリズム)
⑧地域医療保健活動への参画
⑨他職種を含めた医療関係者とのコミュニケーション能力
⑩後輩医師への指導
研修施設群と研修期間について
大田病院内科専門研修施設群は東京および首都圏の医療機関で構成されています。
連携施設は、立川相互病院(東京都立川市)、みさと健和病院(埼玉県三郷市)、東葛病院(千葉県流山市)で構成されます。
基幹施設の大田病院とは異なる環境で、地域の第一線における中核的な医療機関の果たす役割を中心とした診療経験をより深く研修します。
各施設群での診療経験を通じて、臨床研究や基礎的研究などの学術活動の素養を身につけます。
原則として、基幹施設である大田病院で1年間以上、連携施設で1年間以上、計3年間の専門研修を行います。
連携施設と特別連携施設の選択・調整は、専攻医の希望や将来像、研修到達の評価なども踏まえて行います。