経鼻内視鏡(胃カメラ)
大田病院副院長・消化器医長 山本 博
鼻から入れる内視鏡(胃カメラ)は、苦痛が少ない体にやさしい検査です。
「鼻から入れる内視鏡」は、これまでの経口内視鏡に比べて苦痛の少ない検査として注目を集めています。
大田病院でもこの経鼻内視鏡を導入し、検査を実施しています。
胃がんは罹患率第1位!受診率は…
厚生労働省の人口動態統計によると、わが国の死亡原因第1位は「がん」であり、死亡者数で多いのは肺がん、胃がん、大腸がんとなっています。
なかでも、胃がんは罹患率が高いといわれています。
胃がんは早期発見で完治しやすいがんでもあるため、なによりもまず定期検診による早期発見、早期治療が大変重要です。
しかしながら、内視鏡による検査は「苦しく辛い」「面倒くさい」など敬遠されがちな検査となっています。
そうした中で最近「苦しく辛くない」内視鏡検査として期待されているのが鼻から入れる経鼻内視鏡です。
嘔吐が起こりにくく苦痛の少ない検査
経鼻内視鏡は内視鏡を口からではなく鼻から入れてのどまで通し、食道、胃、十二指腸を観察します。なぜ経鼻内視鏡は楽なのでしょうか?
口から内視鏡を入れるとどうしても舌の付け根を圧迫してしまい、これが嘔吐反射を誘発し、吐き気をもよおします。
また、内視鏡を挿入する角度によっては、のどの壁に内視鏡が当たって嘔吐反射を起こすこともあります。
経鼻内視鏡では鼻から入れると、舌の付け根をよけて入れることができ、また内視鏡の挿入ルートがのどの壁とほぼ平行になるので嘔吐反射が起こりにくくなります。
経鼻が無理な場合には口からの内視鏡検査に
経鼻内視鏡は患者様の抵抗が少なく受けられる点が特徴ですが、「楽」だというイメージが先行してしまいがちです。何も感じないものと思って来院される患者様もいますが、内視鏡が鼻や食道入口部を通過する時の違和感は残ります。
経鼻内視鏡用カメラは経口用よりは細くできていますが、それでも約5%の方は鼻を通過できません。
その場合は、無理をせず口からの内視鏡に切り替えて検査をさせていただいております。
早期発見ができれば内視鏡手術もできる
早期胃がんの約60%が5年で進行した胃がんになるといわれています。
早期の胃がんで、がんが胃粘膜の表層に留まるものであれば、内視鏡による切除で完治する期待ももてます。
そのためにも定期的に検診を受けていただき、あるいは胃に異常を感じたら内視鏡検査を受けていただき、早期の段階で胃がんを発見したいものです。
経鼻内視鏡検査をご希望の方は、外来にてご相談ください。